軟水と硬水の違いとは?使い分けで水はもっと美味しくなる!

軟水と硬水の違いをご存じですか?水にはマグネシウムとカルシウムが含まれており、その量によって「軟水」と「硬水」に分けられます。日本では主に軟水が慣れ親しまれていますね。今回はそれぞれの違い、料理や美容において最適な水の種類などについて、解説したいと思います。
目次
軟水と硬水の違い
軟水と硬水は、それぞれの硬度によって分類されます。硬度とは、水に含まれているマグネシウムとカルシウムの量を表した数値です。
軟度/区分 | WHO(世界保健機関) | 日本国内 |
---|---|---|
軟水 | 0~120mg/L 未満 | 0~100mg/L 未満 |
硬水 | 120mg/L 以上 | 100mg/L 以上 |
軟水と硬水の基準はWHOで定められていますが、日本では硬度100mg/L未満が軟水、100mg/Lが硬水に分類されています。
口当たりが軽く飲みやすい軟水に比べ、硬度の濃度が高い硬水は口当たりが重く苦みを感じるのが特徴。私たちが暮らす日本では、水道水やミネラルウォーターも軟水であることが一般的です。
海外旅行で安全な水を飲んだはずなのに、お腹を壊してしまった経験はありませんか?日本人は軟水に慣れているため、硬度の高い硬水を口にするとマグネシウムを多く摂取してしまい、お腹を壊してしまうことも。
軟水と硬水どちらかが優れているというわけではなく、それぞれ使い分けることでもっと美味しく飲んだり料理に使ったりすることができます。
ではなぜ国によって水の種類が違うのか、次の章ではその理由を見ていきましょう。
軟水と硬水が違う理由とは
日本の水道水は、一部の地域を除いてほとんどが軟水です。しかしヨーロッパやアメリカなどでは、硬水が一般的です。なぜ国や地域によって違いがあるのか、それは地層の違いが主な要因です。
日本は火山によってできた地層が多く、雨も多い国です。そのため地下水の滞留が他国に多くみられる石灰質の地層よりも短く、ミネラルを含有する時間が短いため、軟水が多いと言われています。
一方でヨーロッパやアメリカなどで硬水が一般的とされているのは、地中に染み込んだ雨や雨水が地層に接する時間が長く、ミネラルを含有する時間も長いためです。硬度は国や地域の地層により異なります。
軟水と硬水の特徴
軟水の特徴
水の味や性質を決めるのは、硬度です。軟水は癖がなく日本人にとって飲み慣れていることもあり、飲みやすいのが特徴です。
そのため素材の味を活かした料理や、そのままの風味を味わいたいお茶との相性が良いです。またミネラルが多すぎないため、赤ちゃんや子どもが飲んでも安心です。
さらにはお肌や髪に優しいという特徴も。海水浴のあとに髪がゴワついた経験はありませんか?海水にはミネラルが含まれているからですね。硬水は肌や髪へのダメージが大きいのに比べ、軟水は低刺激で肌や髪に優しいです。
硬水の特徴
軟水と比べマグネシウムやカルシウムを豊富に含むのが硬水です。苦みを感じ癖のある味ですが、ミネラルの補給に最適です。
日本人はミネラルが不足しがちといわれています。ミネラルが不足すると便秘や肌荒れの原因に。硬水を飲むことでミネラルが補われ、内側から美容効果を得られる嬉しいメリットも。
しかし硬水を大量に飲んでしまうとお腹を壊してしまうこともあります。硬水に慣れない方は一度に多くの量を飲まないよう注意が必要です。
軟水と硬水の使い分け
ダイエットには硬水が良いって本当?
ダイエット中は硬水を飲むと良い、というのはみなさんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ダイエットに軟水よりも硬水が適している理由は、水に含まれるミネラルです。
水に含まれるミネラル分 | |
---|---|
カリウム | 塩分の排出を促進してむくみ解消 |
カルシウム | 骨を作る主要成分でストレス解消にも効果的 |
マグネシウム | 糖分をエネルギーに変える役割 |
サルフェート | 代謝を活性化させ利尿作用や便通改善に効果的 |
このようにミネラル分には、カリウムやマグネシウムなど、ダイエットに効果的な成分が含まれています。
むくみを解消したり代謝を上げたりする効果があることが、ダイエット中は軟水よりも硬水が適していると言われている理由です。
肌や髪のケアには軟水がおすすめ
スキンケアやヘアケアには、軟水が最適です。
硬水に含まれるミネラルは、洗顔やシャンプーに使用すると刺激を与えてしまいます。そのため肌がつっぱったり髪がパサついたりすることも。硬水が出る国に旅行した際、シャワーを使って肌や髪に違和感を感じた経験がある方も、多いのではないでしょうか。
軟水はダメージを与えるミネラル分が少なく、肌や髪に優しいのが特徴です。洗顔やシャンプーに使用しても問題ありません。
スポーツ時の水分補給には硬水を
スポーツなどで汗をかいた時は、身体からミネラルが排出されている状態です。そのためミネラルを補うために、硬水を飲むことがおすすめ。
とはいえ軟水に慣れている日本人にとって、硬水は胃腸に負担をかけやすいというデメリットもあります。そのため一度に多くの量を飲まないよう注意してください。
こまめな水分補給として回数を分けて摂取するか、お腹が弱い場合は軟水と塩分を一緒に摂るなどしましょう。
料理で軟水と硬水を使い分けるには
和食には軟水が最適
軟水は野菜を茹でたり、煮物を作ったりするのに最適です。そのため和食との相性がとても良いです。
和食は素材そのものの味を活かした料理ですよね。野菜を茹でたり、お米を炊いたり、煮物やスープを作ったりするのに適しています。
日本の水道水はほとんどが軟水ですから、美味しいごはんやお味噌汁は、この軟水から作られているのです。
洋食は硬水と相性抜群
軟水と比べてカルシウムやマグネシウムが豊富な硬水は、洋食との相性が抜群です。
硬水に含まれているカルシウムがお肉の臭みや灰汁を取り除いてくれるため、カレーやシチューといったお肉を煮込んだ料理に適しているんです。
煮込み料理の多いヨーロッパ圏では、硬水が一般的です。日本の水道は主に軟水であり、ご飯やお味噌汁は軟水と相性が良いように、その土地から出たお水はその土地に伝わる料理法に向いていると言えるでしょう。
またピラフやパエリアなどをパラパラさせたいときもおすすめ。パスタも硬水を使って茹でることでパスタのでんぷんとカルシウムが結合して、弾力が出ます。水道水でパスタを茹でる際に塩を入れるのは、ミネラル分を足して硬水のようにするためです。パスタの味にこだわるなら、硬水で茹でると一味違う仕上がりになりますよ。
コーヒーや紅茶には軟水?硬水?
コーヒーは軟水との相性が良いです。ミネラル分を多く含まない軟水は、味への影響が少なくコーヒーの風味をそのまま楽しめるからです。
ただ硬水に含まれるカルシウムとマグネシウムは、コーヒーの酸味と苦みを和らげてくれる効果があります。好みによって軟水と硬水を使い分けるのが良いでしょう。
一方紅茶は軟水と硬水どちらでも合いますが、おすすめは軟水です。茶葉の香りが引き立ち紅茶本来の味わいを楽しめます。硬水を使用すると苦みや渋みが抑えられる特徴がありますが、紅茶本来の味わいは失われます。飲みやすさを重視する場合は硬水を使ってみてください。
上手に使い分けて水をもっと美味しく!
何気なく飲んでいる水ですが、軟水と硬水はそれぞれ違った味や性質を持っています。水の美味しさをより活かすためには、利用シーンに合わせた選び方が大切。軟水と硬水を上手に使い分けて、もっと美味しく水を飲みましょう。

