「グラフェン」とは?驚きの浄水能力をもつ今注目の新素材

グラフェンはあらゆる分野で今注目を集めている新素材です。高い耐熱性と柔軟性をもち、高速コンピューターやバッテリーなど、今後ありとあらゆるものに使われることが期待されています。そしてグラフェンには、水のろ過にも高い能力を発揮することがわかりました。今後グラフェンを使った、新たな浄水方法が生まれる可能性もあるのです。

今回はそんな注目の新素材「グラフェン」についてご紹介いたします。

グラフェンとは

グラフェンとは、炭素(カーボン)原子がメッシュのように結びついて、シート状になっているものをいいます。

グラフェンは2004年頃に発見され、その功績で科学者たちは2010年にノーベル物理学賞を受賞しました。熱伝導率や電気伝導率、引っ張り強度が非常に高く、電子部品や抗菌材料など多岐にわたる分野で今注目を集めている新素材で、私たちの未来を切り拓く大きな可能性を秘めています。

現在世界中の科学者や企業が、この新たな発見の実用化を実現するために研究を進めており、今後様々な場面で活用されることが期待されます。

(参照:「ノーベル物理学賞に英大の2氏 炭素素材グラフェン開発」)

グラフェンの特性

グラフェンはわずか1ナノメートルと極めて薄く、軽くて透明です。しかしながら最硬の天然素材と言われるダイヤモンドに劣らぬ強度があると報告されており、さらに柔軟性や耐熱性も高いことから、シリコンや貴金属の代わりとして使うことができるのではないかと予想されています。

今後グラフェンの実用化が進めば、太陽蓄電や超軽量航空機から私たちにとって身近なスマホのバッテリーやパソコンなど、あらゆる物に使われていくこととなるでしょう。そしてもう1つ、私たちの生活を支える水にも、グラフェンを使った研究が進められています。

浄水能力の向上を目指し

ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)があるシドニーの水道局では、住民へ安全な水道水を届けるべく浄水の過程で、化学凝固剤を使用し有機物質と綺麗な水を分けるよう工夫しています。

しかし、雨季の季節などには水に含まれる有機物質粒子の量が増えてしまい、ろ過の過程での化学反応に時間がかかりその季節のろ過処理能力が低下してしまっていました。

浄水施設の処理能力が低下することで、浄水に必要な消毒液の量が増えてしまうことがわかっており、安全面でのリスクを不安視する声も少なくありません。

そこでニューサウスウェールズ大学が着目したのが、グラフェンを浄水フィルターとしたろ過方法の研究です。

新たな浄水方法となる可能性

冒頭でも述べた通りグラフェンは高い浄水能力をもっており、新たな浄水方法となる可能性があります。

ニューサウスウェールズ大学では、グラフェンオキサイド(酸化グラフェン)の膜をフィルターとして用いた研究を行いました。すると、これまで使っていた化学物質を一切使用せず、有機物質を100%ろ過できるという結果に。つまりグラフェンオキサイドの膜は、水分子は通すものの、有機物質の粒子は通さないということが判明したのです。

研究を行ったニューサウスウェールズ大学の博士は、「これまでのフィルターで自然の有機物質を99%近くろ過できたものはなかった」と発言しており、今後は従来の浄水方法から、グラフェンを使った新たな浄水方法に代わるかもしれないとしています。

実験結果を受け、ニューサウスウェールズ大学では今後、小規模な実験用浄水施設を作る予定です。

今後グラフェンを使った浄水施設が実用化すれば、消毒液の量も増やすことなく、これまでより安全な水が作れることとなるでしょう。

(参照:「驚異の浄水能力!ナノ素材グラフェンで有機物質シャットアウト」)

グラフェンの今後

現在グラフェンの製造には、莫大なコストがかかります。そのため現段階では研究に使われる程度で、市場にはあまり出回っていません。新素材が大量生産されるようになるには、それなりの歳月を必要とするものです。

とはいえ最近では、グラフェンを使った新商品の開発も徐々に行われるようになってきています。米企業のAPPEARはグラフェンのバッテリーを用いた5Gスマホを、2021年3月にリリースすることを発表しました。従来のバッテリーよりも容量が大きく充電が早いため、世界でも注目を集めています。

(参照:「APPEAR、世界初のグラフェンバッテリー搭載5Gスマホを3月に発売」)

グラフェンは私たちの暮らしを変える

今注目を集める新素材のグラフェン。その類を見ない優れた性能は、私たちの暮らしを大きく変える素晴らしい存在へとなっていくことでしょう。

日本で安全な水が使えるのも、日本の高い浄水機能があるからこそ。高い浄水能力をもち消毒薬を減らせるグラフェンのフィルターなら、今より更に安全な水を利用することができるようになります。そう遠くない未来、日本でもグラフェンを用いた浄水方法が実現するかもしれませんね。

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