水の殺菌ってどうやるの?私たちを支える水の力

水の殺菌方法をご存知ですか?私たちの暮らしを支えてくれる水。なくてはならない存在です。水を用途に合わせて使うためには、それぞれに合った殺菌が必要。私たちが自分で簡単にできる殺菌方法もあるんです。今回はそんな、水の殺菌方法や水道水の殺菌などについて、詳しく解説いたします。
目次
ウイルス対策としても注目される水
新型コロナウイルスの対策として、いま水は飲用や生活用以外でも注目されていますよね。
例えば厚生労働省と経済産業省がコロナ感染防止に有効だと発表した、次亜塩素酸水や熱水。これらを身の回りのものの消毒に使うことで、アルコールよりも高い効果があるとの見解もあります。
ちなみに消毒効果があるのは、水に塩素が含まれているから。日本の水道水には衛生上の安全を守るため、微量の塩素が入っています。塩素には、殺菌や漂白の効果があるのをご存知でしたか?水道水に塩素を入れることで、家庭に供水されるまでの間安全を守っているのです。
水道局によって違いはありますが、残留塩素の量は0.3~06mh/L以下に定められてることがほとんど。
コロナウイルスに有効とされる次亜塩素酸は、10~80ppmの有効塩素濃度が含まれています。そのためウイルスに対して、高い効果が得られるというわけです。また80℃以上の熱水はほとんどの病原菌に有効のため、次亜塩素酸水同様、消毒の効果があります。
水は私たちの暮らしを、様々な角度から支えてくれている存在なのです。
ではそんな水そのものを殺菌するには、どのような方法があるのでしょうか。
水の殺菌方法はいろいろ
水の殺菌は、紫外線処理や自分で簡単にできる煮沸など、いろいろな方法があります。ここからは水の殺菌方法について見ていきましょう。
紫外線処理
まず1つ目は、紫外線(UV)を照射して水を殺菌する方法です。紫外線を使った殺菌は、効果が大きく残留物が残りにくいといったメリットがあります。
紫外線といえばお肌の大敵である存在ですが、太陽から地球に届く光のなかで最もエネルギーが強い光と言われています。直接皮膚などに触れると害がありますが、直接照射しない方法を使って様々な分野で活用されているのです。
オゾン処理
オゾンは3つの酸素原子からなる酸素の同素体で、強い殺菌効果を持っています。
水道水を殺菌するとなると、オゾンだけでは不十分。そのため次亜塩素酸ナトリウムと併用して殺菌を行います。オゾンは殺菌力がきわめて高いため、プールの殺菌剤として使われることも多いです。
オゾン水という言葉を聞いたことありませんか?オゾン水というのは、オゾンが水に溶存している状態のもの。殺菌や脱臭効果があり、オゾンを生成させて自宅でオゾン水が作れる機器なども一般家庭向けに販売されています。
オゾン水は生鮮食品の除菌脱臭や、うがい手洗いなど幅広く活用できる水です。一般家庭ではあまり馴染みがないですが、飲食店の厨房などに導入しているところもあります。
二酸化塩素処理
二酸化塩素を用いた水の殺菌法もあります。
二酸化塩素処理は、有機塩素化合物を生成せず残留性があるという特長を持っています。そのため殺菌力が長く続き、日本では水道水の処理やプールの殺菌としても認可されたものです。
プールに行くと独特のツンとした臭いを感じませんか?それは二酸化塩素を使って消毒したことによる、塩素の臭い。二酸化塩素を使った殺菌は、韓国やアメリカでも認められています。
煮沸
煮沸による殺菌は、私たちの間でも広く知られていますよね。家庭で最も簡単にできる、水の殺菌法です。
煮沸をすることで、残留塩素や有機塩素化合物のトリハロメタンを除去することができます。
水道水が飲めない国や地域では、浄水器を付ける他煮沸をして飲料水を作ることも多いです。私たちが暮らす日本では、わざわざ煮沸をして水を飲む人は少ないかもしれません。しかし世界各国では、家庭でできる水の殺菌して広く使われる方法です。
水道水にも殺菌が必要?
日本の水道水は安全性が高いため、基本的に殺菌は不要です。しかし微かな塩素やトリハロメタンが含まれているため、不安な方は殺菌をして飲料水にするのも良いでしょう。ここからは水道水の殺菌法や注意点について解説します。
水道水はそのままでも飲料可能
日本の水道水は、水道法により高い水質基準が定められています。そのためそのまま飲んでも問題ありません。
しかしながら、人体に悪影響を与えるといわれる塩素や、発がん性が指摘されるトリハロメタンが含まれているのも事実です。
ではなぜ害を及ぼすものが水道水に含まれているのかというと、まず塩素は殺菌力があるから。水道水に含まれた菌を消毒するため、微量な塩素をあえて含ませています。
次にトリハロメタンですが、こちらは水中の有機物質と残留塩素が反応することで、生成されるもの。ですから塩素が含まれている以上、トリハロメタンも水道水に含まれるというわけです。
しかし日本では残留塩素1mg/L以下、総トリハロメタン0.1mg/L以下という基準値が設定されています。WHOが定める安全な水道水の残留塩素は5mg/L以下ですから、かなり厳しい基準であることがわかります。
そのため水道水を飲んだからといって、人体に大きな影響を与える心配はほとんどないと言えるでしょう。
もし微量ながらも塩素やトリハロメタンが含まれることや、カルキ臭さが気になるという場合には、煮沸による殺菌がおすすめです。
煮沸で水道水を殺菌する方法
煮沸をすると、水道水に含まれる塩素とトリハロメタンが蒸発して広がることで除去できます。
煮沸の方法はとっても簡単。まず鍋かやかんに水を入れて火にかけたら、沸騰してからフタをします。その後10~30分程加熱を続けてください。
1つ注意したいのが、短時間の煮沸ではトリハロメタンを除去できないということ。
というのもトリハロメタンは5分以上加熱しないと、除去されません。また水温が上昇することで増加するというやっかいな性質を持っており、5分以下の煮沸ではトリハロメタンが逆に増えてしまうことに。
そのため必ず10~30分と、長めの時間加熱するようにしてください。
ちなみに電気ポットを使う場合、カルキ抜き機能を使えば塩素は除去できます。トリハロメタンも除去したい場合は、沸騰機能を繰り返し使用しましょう。
煮沸した水を飲む場合の注意点
煮沸した水を飲む場合に注意したいことは2つ。
まず1つ目は、長時間保存できないということ。煮沸をすると殺菌力を持つ塩素が消えているため、冷蔵庫で保存していても細菌が増えるリスクがあります。そのため煮沸後の水はすぐ飲み干すようにしましょう。
2つ目は、煮沸だけでは全ての菌を取り除くことはできないということです。というのも煮沸で揮散するのは、沸点が水より低い物質だけ。そのため塩素やトリハロメタン以外の金属、有機化合物などは除去できません。
煮沸した水を飲む場合は、以上2点に注意してください。もし美味しくてより安全な水を飲みたい場合は、浄水器やウォーターサーバーを使うのが良いでしょう。
飲用や生活用だけじゃない!水が持つ力
水はあらゆる方法で殺菌できます。私たちが日頃使っている水は、様々な工程を経て安全な状態で用途別に届けられているのです。また、水は飲用や生活用だけではありません。殺菌や消臭など、様々な役に立つ力を持っています。
新型コロナウイルスの対策としても、注目を集めている水。今後さらなる進化や発展を遂げることでしょう。

