【水道料金の格差】地域によって料金が違うのはなぜ?

【水道料金の格差】地域によって料金が違うのはなぜ?

地域によって格差のある水道料金。水質や地形、人口密度などの違いにより大きな差が生まれ、その差は最大8倍にも及びます。また水道民営化が施行されたことにより、今後さらなる開きが懸念されます。水道料金に格差のある具体的な理由や、今後影響を与える要因となるのは、一体何なのでしょうか。

8倍も違う水道料金の格差問題

現在日本の水道料金は、地域によって約8倍もの差があります。

最も水道料金が高いのは、北海道夕張市で6,841円※1。最も安いのは兵庫県赤穂市で853円※1と、夕張市の約8分の1の料金です

※1:月20㎥、2~3人家族の一般的な使用水量を想定したもの

これまで水道料金の格差を気にしてこなかった、という人も多いと思います。しかし新型コロナウイルスの影響で自宅で時間を増やす人が増え、各家庭で水道料金が高騰。自治体によっては水道料金の免除を行ったこともあり、格差が注目されるようになりました。

一世帯あたり同じ量の水を使っていても、なぜ地域によってこんなにも格差が生まれてしまうのでしょうか。

なぜ?水道料金に格差ができる理由

水道料金に格差ができるのは「歴史的要因・地理的要因・社会的要因」の3つがあるから。それぞれ具体的に見ていきましょう。

理由1.歴史的要因

まず歴史的要因というのは、水利権や水道布設年次にあります。

水利権というのは、簡潔にいうと水の資源となる河川や湖を利用できる権利のことです。水道事業を早くから開始して水利権の確保に努めていた自治体は、水源開発にかかる費用負担が少なく済みます。

例えば琵琶湖から流れ出た淀川を水源としている大阪市は、全国の自治体でも4番目に早い明治28年に水道事業を開始させました。水道料金は2,112円と、大阪府内の平均2,915円を大きく下回り、東京23区よりも安い使用料です。

このように歴史的要因も、水道料金の格差に影響を与えているのです。

理由2.地理的要因

水質や地形に恵まれた地域は、家庭に水を提供するまでにかかる費用を抑えられることから、水道料金も安くなります。

水源となる河川や湖の水には、不純物や細菌が含まれていますよね。これらを除去して家庭の水道水へ提供するためには、高度な浄水処理を必要とします。

水質が高い地域であれば、浄水処理にかかる費用が抑えられるため、利用者が支払う水道料金も安くできるのです。最も水道料金が安い赤穂市も、水質が高い特徴があります。

一方地形によって水道料金に差が出るのは、私たちの元に水を届けるまでの過程が関係します。

水は配水管やポンプを通して家庭の水道水へ提供されますが、山間部などの場合はこれらの設備が多く必要に。そのため維持にかかる管理費がかさんでしまうということです。

浄水や配水の過程でコストが多くかかれば、どうしても水道料金は高くなってしまいますよね。水質や地形は水道料金を左右する要因の1つなのです。

理由3.社会的要因

そして最後に、社会的要因。これは人口密度やライフスタイルなどによる需要構造の違いを指します。

人口が密集している地域では、配水管を効率良く設置できます。しかし水道料金が最も高い夕張市のように、土地が広く住宅がまばらに存在する地域の場合、そうはいきません。多数設置された配水管を使い続けるためのメンテナンス費用が、より多くかかってしまうのです。

また地域によって一人当たりの水使用量も異なります。近年は市販された水を買うなど、水道水を多く使わない人も増えました。利用者が少なければ一人あたりの経費が増え、水道料金が高くなるケースも。こうしたライフスタイルの違いも水道料金の格差を生む要因となるのです。

水道民営化で懸念される格差の広がり

約8倍もの差がある水道料金ですが、民営化されたことによりその差は20倍にも膨れ上がると言われています。

そもそも水道民営化が施行されたのは、水道管の老朽化が原因です。水道管のほとんどは1960年頃の高度成長期に建設されたもので、大部分が耐用年数の40年を超えてしまっています。

しかしこれら全てを交換するとなると、莫大な費用がかかりますよね。そこで対応が難しいと考えた政府が、民営化に乗り出したのです。

ではこれからも安全な水を提供するための費用がどこから生まれるのかというと、私たちが払う水道料金です。

先述した通り夕張市のように住宅がまばらに存在する地域では、設備を維持するためのメンテナンス費用が高くかかります。すると吸収先となってくれる企業が、見つからない可能性も出てきます。

こういった地域では今後更なる水道料金の高騰が免れない状況となり、数年後にはより格差が広がることが懸念されているのです。

水道民営化では様々な問題が取り上げられていますが、このようにメンテナンスにかかる費用に自治体がどう対応していくかも、今後の課題の1つとなっています。

今後の水道料金に影響を与える要因

今後さらに地域によって開きが出ると言われる水道料金。ではどういった要因が、水道料金に影響を与えるのでしょうか。

人口の減少

まず要因の1つとなるのが、人口の減少です。人口が減ればその分、水の使用量も減ってしまいますよね。

しかしながら水使用量が少ないから水質を落として経費を削減しよう、というわけにはいきません。水を使う人が減った一方でこれまでと同じ安全な水を提供するには、どうしても水道料金を値上げするしかなくなってしまうのです。

しかし一方で、水質を下げる方法が取られるのではないかと不安視する声も上がっています。なぜかというと、水道民営化によって民間企業が運営をする可能性があるからです。民間企業が利益を重視するのは当たり前のこと。そうなると水質が低下するケースも考えられます。

水道民営化といっても、ガスや電気のように私たち個人が水道を選べるわけではありません。判断するのは、各自治体です。そのため自治体が人口減少と水質の確保にどう対応していくかによって、私たちが支払う水道料金にも違いが出てくることになるでしょう。

水道設備の老朽化

そしてもう1つの要因は、水道設備の老朽化です。

先ほど水道管の老朽化により水道民営化が施行されたという話をしましたが、全ての自治体が古くなった設備の対応を完全に進められているわけではありません。

老朽化に対応していくためには、財源確保が必要になります。しかし安い水道料金への社会的ニーズは高く、自治体が水道料金の値上げを行わなかったため、古くなった水道設備への対応が後回しされる結果に。

水道料金を値上げせず老朽化問題にも対応できないとなると、水道管が破裂や破損を起こしてしまう恐れも考えられます。

老朽化した設備の更新を行ってこなかった地域では、今後これらの費用がかかることに。すると利用者の負担も増え、水道料金の値上げは避けて通れない選択となることでしょう。

自治体には地域に合った適切な対応が求められます。

水は私たちの暮らしに欠かせない存在

いくら水道料金が値上げしても、格差が広がったとしても、水は私たちの暮らしには欠かせませんよね。水道料金に合わせて居住地を決めることはないと思いますが、地域の水道料金や今後の推移に関して、確かめておくのも良いかもしれません。

新型コロナウイルスの影響でいつもより水道料金が高くなり、節水意識が高くなった人も多いのではないでしょうか。

これからも水を確保していくためにも、節水意識を持つのは大切なこと。水道料金の問題は自治体に委ねるしかありませんから、今後の暮らしのためにも、私たちは水を大切に使っていきましょう。

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