SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」のターゲットや現状は?

SDGsという言葉を、テレビや新聞で目にしたことはありませんか?とはいえ日本での認知度は3割未満とまだまだ知られてません。SDGsとは国連サミットで採択された持続可能な開発目標のこと。今回は17項目あるうちの1つ「安全な水とトイレを世界中に」の目標について、詳しく解説していきます。
目次
SDGsとは

SDGsはSustainable Development Goalsの略称で、2015年の国連サミットで採択されました。
193カ国の国連加盟国が2016年から2030年の間に達成することを目標としており、17の目標と169のターゲットで構成されています。
SDGs17の目標は以下の通りです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任、つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさを守ろう
- 平和と校正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
今回は6番目にある「安全な水とトイレを世界中に」という目標に着目して、ターゲットの内容や世界の水事情の現状ついてご紹介していきます。
SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」
現在世界には、安全な水にアクセスできずトイレなどの施設整備が不十分な国に暮らす人々がいます。私たち日本人にとって、安全な水を飲み清潔なトイレや手洗い場を利用することは、当たり前のことになってしまっています。しかし世界を見れば、とても恵まれた環境下にいるのです。
「安全な水とトイレを世界中に」は、世界中の人々が安全な水とトイレを利用できることを目標としています。
水がなければ心身の健康を保つことはもちろん、作物も育ちません。トイレや洗濯もできません。私たちが生きていく上で水は無くてはならないもの。
しかし水を供給するためのインフラ整備には、莫大な費用と人件が必要になります。貧困に悩む国では、環境を整えることは安易ではありません。それだけではなく、地域の気象や気候によって水不足に悩まされる人々もいます。
そこで掲げられた目標が「安全な水とトイレを世界中に」なのです。実現させるためには多くの国が取り組みに励むことはもちろん、私たち個人も協力し合う姿勢が大切です。
私たちが当たり前のように安全な水にアクセスできているなか、深刻な水問題に悩まされている人々がいることを忘れてはいけません。
ターゲット
SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、以下のターゲットに定められています。
6.1 | 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。 |
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6.2 | 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性および女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。 |
6.3 | 2030年までに、汚染の減少、有害な化学物質や物質の投棄削減と最小限の排出、未処理の下水の割合半減、およびリサイクルと安全な再利用を世界全体で大幅に増加させることにより、水質を改善する。 |
6.4 | 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取および供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。 |
6.5 | 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合的な水資源管理を実施する。 |
6.6 | 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。 |
6.a | 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、廃水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力とキャパシティ・ビルディング支援を拡大する。 |
6.b | 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。 |
安全な水とトイレを提供するためには、設備整理に加えて自然に生息する生態系の保護、回復も必要となります。また環境の汚染や有害な化学物質などの削減など、私たちが意識して取り組めることも。
2030年までに目標を達成させるためには、国と人々が一丸となって取り組みをしていくことが求められるでしょう。
世界の水とトイレの現状
SDGsの前進となるMDGs(ミレニアム開発目標)では「2015 年までに安全な飲み水にアクセスできない人口割合を半減する」という目標を掲げ、安全な水にアクセスできない人口割合が22%から11%に、衛生施設を利用できない人口割合も44%から37%にまで改善されました。とはいえ未だ水問題に悩まされる人々は多く存在します。その現状を見てみましょう。
安全な水にアクセスできない国の現状
現在世界には安全な水にアクセスできず深刻な水問題に悩まされる人々がいます。
安全な水がないと清潔な環境を整えることもできず、医療や教育にも影響を与えます。さらには水がなければ作物も育ちませんから、食べ物を手に入れることさえ難しいケースも。
不十分な衛生環境では、感染症のリスクや汚い水を飲んだことにより下痢を起こし脱水症状を引き起こしてしまうなど、健康な身体を保つことが難しくなります。汚い水だと分っていても、その水を飲まなければ生きていけないのです。
特に免疫力の少ない子どもは影響を受けやすく、安全な水がないことにより身体の成長も不十分に。しかし免疫力を上げるための水や食物が手に入らないという悪循環が生まれてしまいます。
実際に日々多くの子どもたちが安全な水を飲めず命を落としているのが現状です。
下水・衛生施設の現状
日本はトイレや衛生設備が整った国です。しかしながら世界では、40億人を越える人々が満足のいく衛生施設が利用できず、6億以上もの人が野外で排泄をしています。
開発途上国の多くでは、不衛生な水やトイレを利用せざるを得ない状況です。
環境が整っていないトイレや手洗い場を使うことで、疫病を発症するリスクも高まります。命を落とす原因は、安全な水が手に入らないことだけではありません。不衛生な設備にも原因があります。
また野外での排泄や区切りのないトイレの使用は、精神面にも影響を及ぼします。女性や思春期の子どもにとって、人目につく場所での排泄はストレスに。心身の健康を守るためにも、整った下水、衛生施設を作り上げることが重要なのです。
「安全な水とトイレを世界中に」のため私たちができること
政府や企業に加え、NPOやNGOも安全な水とトイレを世界中に届けるための取り組みを行っています。
私たち個人が衛生設備を整え安全な水を提供することは難しいこと。またボランティアの参加も誰でもできるわけではありません。
しかし、できることはあります。NPOとNGOではインフラ整備をするための寄付を募っており、直接的ではなくても寄付をすることで世界に安全な水とトイレを届けるための協力ができます。
実際の活動は行えなくとも世界の人々の命を守るため私たちにできることがあり、集まった寄付金で多くの命が救われるのです。
目標を達成させるためには小さな力が大きな力になると信じて、私たちもできることから始めていきましょう。

